市況概要2019-05-17

17日の東京市場は、187.11円高の2万1250.09円で引けた。
前日の米国株高を受け、東京市場も朝方から幅広い銘柄で買いが先行したが、午後は伸び悩んだ。週末にあたり、米の動き次第で週明けのギャップアップ・ダウンが予想される中で、オーバーウィークでの持ち高警戒と売り方の買戻しの動きが交錯した感じだ。ドル円も一時、110円台に乗せる場面もあったが再び109円台に押し戻される展開になっており、しばらくは米中貿易摩擦に対する思惑で上下に振れることも窺える。また、中国の動向からリスクオフへの動きもあり、ビットコインや上海総合指数が一時急落した。
日経平均のプラスに寄与した一つがソニー(6758)で自社株買いと米マイクロソフトとの提携が好感されて、年初来高値も更新している。
来週以降はGDP・月例報告・トランプ大統領来日と大きなイベントも控えており、引き続き米中貿易摩擦問題は懸念材料となるので今後の株価への影響となるものは動向を見極めたいところであろう。


出来高:13億4952万株
売買代金:2兆4294億円
16日時点:日足の一目均衡表では、終値ベースで雲下限を下回った。


【注目された銘柄】
ソニー(6758)
同社が米マイクロソフトとクラウドサービスやAI分野で提携することを発表。ゲーム産業の競争軸がクラウドに移る中、従来型のゲーム専用機で競合するライバルが手を組むことが17日付の日本経済新聞にて報じられた。また、前日には上限6000万株(2000億円)の自社株買いの発表もあり、これらを材料視した買いが集まり、7日につけた年初来高値を更新した。

【全市場値上がり上位】
1(5216)倉元製作所+35.29%
2(7676)グッドスピード+22.02%
3(1724)シンクレイヤ+21.01%
4(2164)地域新聞社+19.97%
5(6944)アイレックス +19.79%
6(6538)キャリアインデックス+19.01%
7(4594)ブライトパス・バイオ+17.94%
8(3135)マーケットエンタープライズ+17.25%
9(9878)セキド+16.28%
10(7578)ニチリョク+16.21%

【注目された材料】
コンビニ最大手セブン-イレブン・ジャパンは17日、消費期限切れが近い弁当などの食品の購入者に本部の負担で値引き分のポイントを付与する還元策を今秋から加盟店を含む全国の約2万店舗で行うことを発表。売れ残りを減らし、「食品ロス」を削減するとともに加盟店の収益改善を図るのが目的だ。ローソンも6月からこうした還元策の実験を一部店舗で始めることにしており、業界で価格戦略の見直しが進みそうだ。

  

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市況概要2019-05-16

16日の東京市場は、125.58円安の2万1062.98円で引けた。
米中貿易摩擦問題による世界的な景気減速懸念の高まりにより、弱い相場が続き、景気敏感株中心に売り優勢の展開。2万1000円を割り込むと買いが入るというしぶとさもあるが、テクニカル的にも各移動平均線を日経平均が下回り上値の重さが意識されているもよう。リスク回避で余剰資金の矛先のひとつがNY金で1か月ぶりの高値をつけている。米国が中国を標的にし、通信機器の使用を禁じたことで米中の対立は深刻化し、さらに日本や欧州に対しても自動車輸入を制限することも検討中ということが伝わり、この株価低迷状態から抜け出すのが難しい様子だ。


出来高:14億6158万株
売買代金:2兆3942億円
15日時点:日足の一目均衡表では、日々線が雲下限から雲中に復帰。遅行線は株価の下に位置し、弱気シグナル継続のほか、転換線が下降して基準線を下回っており、目先は下落圧力が残るリスクも。


【注目された銘柄】
三菱UFJ(8306)
同社は反落。前日発表した19年3月期決算では、純利益8727億円前期比11.8%減益となり、市場コンセンサスを1000億円近く下回っており、期待されていた自社株買いの見送りも加わり、売りが優勢となり、年初来安値を更新。みずほFG(8411)も同様に自社株買いの方針を発表しなかったため、下値模索の展開に。
一方、三井住友(8309)や第一生命(8750)など自社株買いなどで株主に還元しようとする企業は評価され、株価も上昇している。

【全市場値上がり上位】
1(5216)倉元製作所+41.67%
2(1689)天然ガス上場投資信託+33.33%
3(3937)Ubicomホールディングス+23.92%
4(3135)マーケットエンタープライズ+22.97%
5(5704)JMC+21.74%
6(3692)FFRI+21.54%
7(4435)カオナビ+21.22%
8(4576)デ・ウエスタン・セラピテクス研究所+18.82%
9(6096)レアジョブ+18.55%
10(3688)CARTA HOLDINGS+17.79%

【注目された材料】
トランプ大統領は米企業に対し、安全保障上の脅威があると認める通信機器の使用を禁じる大統領令に署名。中国通信機器大手のファーウェイの製品などを念頭に置いており、米財務省もファーウェイに対する米国製部品などを許可なく輸出することを禁じる発表もされた。これにより、米中貿易摩擦の激化は再認識され、この報道によって海外短期筋中心に売りが優勢に。6月末に開催予定のG20首脳会議の場における米中会談での結果を見極めたいムードも強まってきており、目先でのリスクオンムードは見込まれにくい。

  

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市況概要2019-05-15

15日の東京市場は、121.33円高の2万1188.56円で引けた。
前日は米国主要3指数そろって上昇であったものの、米中貿易摩擦の激化懸念をぬぐえず、朝方は売り買いが交錯。アジア株の上昇を受け、自律反発の買いが支えとなり、令和初の上昇で取引を終えた。
世界的なリスク回避ムードの背景となっている米中貿易摩擦問題においては、トランプ大統領は6月下旬開催予定のG20首脳会議に合わせ中国の習近平国家主席と会談する意向と、貿易協議の合意に自信を 示し、貿易摩擦の激化懸念を後退させているものの、依然として先行き不透明感は残るため、日経平均も2万1000円台に動きを固め、相場全体の地合いの影響を受けにくい中小型株に物色が向かいやすい状況が続くことも予想される。


出来高:15億2404万株
売買代金:2兆5724億円
14日時点:一目均衡表では、日々線が雲下限を下回って売り手優位の地合いを示唆。


【注目された銘柄】
武田薬品(4502)
同社が14日に発表した決算発表では、2020年3月期の連結業績見通しが悪く、営業損益が1930億円の赤字、税引き前損益は3690億円の赤字、純損益は3830億円の赤字と、いずれも赤字転落の見通しから失望売りを誘った。要因として、アイルランド製薬大手シャイア―の買収費用が影響しているとみられるが、それでも低水準の業績に売られざるを得なかったようだ。

【全市場値上がり上位】
1(7578)ニチリョク+29.38%
2(5704)JMC+27.78%
3(7913)図書印刷+26.81%
4(3237)イントランス+23.33%
5(5410)合同製鐵+22.09%
6(9450)ファイバーゲート+19.97%
7(6553)ソウルドアウト+19.72%
8(3902)メディカル・データ・ビジョン+19.61%
9(1724)シンクレイヤ+19.46%
10(9878)セキド+19.35%

【注目された材料】
本日はマザーズ市場の商いが13時半時点で1000億円を超えるほど膨らんだ。14日にSOSEI(4565)が 好調な業績を発表し、提携するファイザーとの研究開発で30万ドルのマイルストンを受領したことも伝わったことで買いを集め、その流れがオンコリス(4588)やアンジェス(4563)など他のバイオ株にも波及した。他にも好調な業績を発表したファイバG(9450)も一時ストップ高をつけるなど、個人投資家による材料株を物色する動きは見られる。

  

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市況概要2019-05-14

14日の東京市場は、124.05円安の2万1067.23円で引けた。
米中貿易摩擦の激化を受け、米国株も急落、東京市場もほぼ全面安で取引がスタートした。日経平均は心理的節目の2万1000円を1か月半ぶりに割り込む場面もあり、自動車や銀行など時価総額の大きい主力業種の値下がりが目立った。取引時間中にトランプ大統領がツイッターで米中交渉の早期解決を示唆する発言が伝わると、一時下げ渋る展開もみせたが、トランプ氏のツイッター発言一つで状況が大きく変わることを慎重的に捉え、買戻しの勢いは強まらず、結局7日続落で取引を終えている。


出来高:17億3388万株
売買代金:2兆8526億円
13日時点:5日線が下降を続ける一方、25日線も下向きに転換し、弱気トレンド入りを示唆。


【注目された銘柄】
ファーストリテ(9983)
株価の直接的影響要因とは限らないが、同社は13日ユニクロ・ジーユーの公式オンラインストアがリスト型アカウントハッキング攻撃を受け、4月23日から5月10日にかけ、約46万件のIDに不正ログインがあったことを発表。ユーザーの氏名や住所などの個人情報が第3者に閲覧された可能性があると伝えている。現在は、不正ログインが試行された通信元を特定、アクセスを遮断し、その他のアクセスの監視も強化しており、同時に、メールなどで個人情報を聞くことはないと同社は注意喚起している。

【全市場値上がり上位】
1(6677)エスケーエレクトロニクス+25.36%
2(9517)イーレックス+24.78%
3(7676)グッドスピード+22.88%
4(6035)アイ・アールジャパンホールディングス+21.53%
5(3350)レッド・プラネット・ジャパン+18.97%
6(2385)総医研ホールディングス+18.76%
7(3663)アートスパークホールディングス+17.83%
8(1852)淺沼組+17.67%
9(3787)テクノマセマティカル+17.40%
10(7578)ニチリョク +17.22%

【注目された材料】
13日、中国政府は米国が10日に実施した対中制裁関税拡大への報復措置を6月1日に発動することを発表。約600億ドル相当の米国製品への追加関税を最大25%に引き上げ方針だ。また、トランプ政権も中国からの輸入品ほぼすべてに制裁関税を拡大する「第4弾」の詳細を公表。現在対象から外れている3000億ドル分の製品3805品目に最大25%の関税を上乗せする。スマートフォンなど新たに多くの生活必需品が標的となり、米国の消費者にも影響が及びかねない。

  

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市況概要2019-05-13

13日の東京市場は、153.64円安の2万1191.28円で引けた。
前週末の米国市場は、上昇。トランプ政権の対中関税の引き上げによる米中貿易摩擦問題の長期化懸念から売りが先行したが、ムニューシン米財務長官が米中高官協議の進展を示唆したことが背景だ。東京市場でも底堅い展開が予想されたが、トランプ政権はさらに3000億ドル規模の制裁関税適用を準備しているという話が伝わり、先物主導で売りが先行、日経平均も一時200円を超える下げ幅まで広げ、米中協議の不発は投資家心理をかなり冷え込ませていたもよう。
トランプ大統領の発言に振られやすい一方、決算発表のピークを越え、個別では好決算や自社株買い等を発表した企業の見直し買いの動きも意識されやすくなってはいる。


出来高:14億2097万株
売買代金:2兆3616億円
10日時点:5日移動平均線が25日移動平均線を下回るデッドクロスを形成。


【注目された銘柄】
ディーエヌエー(2432)
同社は10日、上限3800万株(500億円)の自社株買いの実施を発表した。発行済み総数の26.14%と規模の大きさからインパクトも非常に大きく、1月末の年初来高値を更新した。

【全市場値上がり上位】
1(3686)ディー・エル・イー+32.47%
2(4970)東洋合成工業+24.78%
3(7874)レック+21.87%
4(1852)淺沼組+21.46%
5(7578)ニチリョク+20.80%
6(6541)グレイステクノロジー+20.60%
7(6560)エル・ティー・エス+20.50%
8(4925)ハーバー研究所+20.27%
9(5105)TOYO TIRE+17.67%
10(7745)エー・アンド・デイ+17.67%

【注目された材料】
トランプ米政権は日本時間13日夜から14日未明にかけて、中国からの輸入品すべてに制裁関税を課す「第4弾」の詳細を公表する予定だ。実行に移せば、中国の反発も必至で、貿易摩擦問題は一層激化しかねない。米中両国は交渉を続ける方向で、クドローNEC委員長は6月下旬開催予定のG20首脳会議に合わせて米中首脳会談を行う可能性も言及している。しかし、それまで進展期待がないこととや合意時期など不透明要因が多い。

  

なお、この情報を無断で転記することを禁止します。