市況概要2019-05-10

10日の東京市場は、57.21円安の2万1344.92円で引けた。
前日の欧米市場の主要株価がそろって下落する一方で、東京市場は朝方買い優勢で取引開始。米中の電話会談の可能性が浮上し、不安心理が後退、前日までの下落で自律反発もあり、売り方の買戻しも入ったようだ。前引け時点で前日比150円ほどの上昇をみせた。その後、ランチタイムを挟み、日経平均先物が売りに押され、後場、水準はほとんど変わらないながらも日経平均もマイナスに転じた。その後、対中関税引き上げが発動され、中国も対抗措置の意思表示が伝わると、下げ幅200円近く拡大する場面もあったが、大引けにかけ急速に上げ渋りをみせた。しかし、結局令和相場が始まってから1000円近く下げており、まだ一度も白星をつけず今週を終える形となった。


出来高:17億4057万株
売買代金:3兆1340億円
10日時点:5日移動平均線が25日移動平均線を下回るデッドクロスを形成。来週以降の株価下落を強く示唆。


【注目された銘柄】
ソフトバンクG(9984)
前日、決算発表が行われ、連結業績利益は過去最高を伝え、市場コンセンサスを大幅に上回る結果だった上、6月末に1対2の株式分割も発表。しかし、同社が出資する米配車大手ウーバー・テクノロジーズのIPO公募価格が下限に決定したことが懸念され、同社株価は3日ぶりの反落となった。

【全市場値上がり上位】
1(7820)ニホンフラッシュ+24.88%
2(3686)ディー・エル・イー+22.22%
3(6982)リード+20.94%
4(4356)応用技術+20.62%
5(2497)ユナイテッド+20.06%
6(3784)ヴィンクス+19.70%
7(6059)ウチヤマホールディングス+17.96%
8(8056)日本ユニシス+17.31%
9(9749)富士ソフト+16.79%
10(4657)環境管理センター+16.67%

【注目された材料】
本日、日本時間13時1分、対中関税引き上げを発動し、5700品目が25%に。
市場の反応としては、発動直後はやや下げ幅縮めるなどの動きも一瞬見られたりもしたが、その後下げ幅拡大するなど不透明感は拭えず。協議自体は続行なので、この引き上げに対しても何らかの対策が打たれるのではないかという見方に加え、トランプ大統領と習近平国家主席の電話会談の可能性も高い。
中国、米国に「報復措置取らざるをえない」という構えだが、景気減速懸念から貿易摩擦の長期化は避けたいのが本音だろう。船荷が来るのが2週間後として実際の関税徴収には時差がある。そこまでに着地点が見いだせるか、根深い対立で貿易戦争が激化し世界経済に打撃を与えるか、本日の協議も見守りたい。

  

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市況概要2019-05-09

9日の東京市場は、200.46円安の2万1402.13円で引けた。
本日から米中貿易協議が開かれることから交渉の行方見極めたいというリスク回避ムードが強く、日経平均は4日続落。令和相場が始まってから軟調な動きが続き、900円近く下落をしている。
何より、米中貿易摩擦に警戒感が根強く、トランプ大統領による「中国がディールを破った」発言が円高進行を招き、ニュースフロー相場が顕在化となっている。それに加え、イランを巡る地政学リスクが出てきた。中東情勢にリスク高まり、イラン混乱で砂糖相場が下落している。
前日に比べ下げ幅にやや一服感はあるものの、TOPIXも直近安値(3月8日)を割り込み、3役逆転の形勢から東証1部全体の本格的な下落局面入りを示唆している。


出来高:16億8963万株
売買代金:2兆8655億円
9日時点:TOPIXの一目均衡表は、主要な弱気サインが3つ揃う「3役逆転」を形成しており、東証1部全体の本格的な下落局面入りを示唆。


【注目された銘柄】
ソフトバンク(9434)、ヤフー(4689)を連結子会社化。4565億円を投じ出資比率を44.64%に引き上げ。
前日の大引け後に発表をした決算の好業績を受け、同社の株価は急伸。
今期最終は11%増で3期ぶり最高益、47.5円増配方針を伝え、同日にヤフー(4689)がソフトバンク(9434)の連結子会社となることも伝わり、好調な業績とヤフー(4689)連結化に伴う配当水準引き上げにより上昇ピッチは速まった。ヤフー(4689)も2月6日につけた年初来高値を更新した。

【全市場値上がり上位】
1(7268)タツミ+24.17%
2(3630)電算システム+22.12%
3(4657)環境管理センター+20.00%
4(4312)サイバネットシステム+18.83%
5(1722)ミサワホーム+18.73%
6(4424)Amazia+18.47%
7(6840)AKIBAホールディングス+17.93%
8(4033)日東エフシー+17.32%
9(4975)JCU+15.15%
10(6869)シスメックス+14.76%

【注目された材料】
市場の関心は、本日から開催予定の米中貿易協議である。
トランプ大統領は8日の演説で「中国が約束を破った。それが、関税引き上げにつながる」と述べた。こういった発言により、リスク回避姿勢が強まり、為替の円相場が一時1ドル=109円83銭と約1か月半ぶりの円高値を付けた。また、株式も自動車などの輸出関連や商社、銀行など内需とも安い。

  

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市況概要2019-05-08

8日の東京市場は、321.13円安の2万1602.59円で引けた。
日経平均は大幅に3日続落となった。米中貿易摩擦の激化懸念を背景に世界的な金融市場の混乱が警戒され、景気敏感株を中心に幅広い銘柄が売られた。後場にかけては下げ幅400円を超える場面もあり、チャート的にも弱気シグナルがともり始めている。TOPIXが直近安値を割り込み、日経平均のローソク足は下落基調入りを示す形状となっている。目先の日経平均は75日移動平均線(約2万1350円)近辺まで下げる可能性もあるという見方もあり、この日本株の大幅続落により、為替も一時、1ドル=109円台円買いに押された。


出来高:14億9623万株
売買代金:2兆7476億円
8日時点:日足チャートは窓を開けて大きく下落、2万1800円台に位置する25日移動平均線や200日移動平均線を割り込んだ。


【注目された銘柄】
トヨタ(7203)20年3月期は減収増益=原価低減効果が増幅
前期、連結営業益3%増の2兆4675億円
今期、連結営業益3%増の2兆5500億円見通し
前期、連結最終益25%減の1兆8828億円
今期、想定為替レート1ドル=110円
といった決算内容となったことに加え、3000億円上限の自社株取得枠も設定したことも発表した。
決算説明会では、様々な質問も飛び交い、白柳執行役員、小林副社長はそれぞれコメントを残した。
白柳執行役員「中国小売台数、前年比18万台増」「為替、1700億円の営業減益要因(20年3月期予想)」「グループ企業決算、先行投資の意思感じた」「曙ブレーキ、頑張ってもらうため協力していきたい」「為替前提は3月のレートで決定。期中の変動の影響はある」
小林副社長「原価低減、試作費でも工夫が進んでいる」「米国、インセンティブや生産性の改善に努力している」「中国市場、我々はまだ周回遅れ。内陸部に向け策を打ち始めた」「今期販売増での減収予想はモデルミックスの関係」「北米の営業利益率8%増目標言い続けたい」
19年3月期は増収、純利益減となり、中国やタイなどアジアを中心に販売が伸びたことで連結売上高が過去最高を更新。一方で18年3月期での米税制改正に伴う影響の反動や保有株式の評価損が純利益を押し下げ、2期ぶりの減益となった。
同社の株価は決算発表後、一時プラスへ転じており、自社株買いを材料視されたようにも見れたが、その後は世界経済や日米貿易交渉への懸念から再びマイナス圏へ沈んだ。しかし、他の企業が市場コンセンサスを大きく下回る業績見通しを出す中で、同社はコンセンサスに近い予想を出していることからあまりネガティブに捉える必要もないという見方もある。

【全市場値上がり上位】
1(8894)原弘産+30.00%
2(7638)NEW ART HOLDINGS+25.00%
3(9768)いであ+23.34%
4(3622)ネットイヤーグループ+21.16%
5(6147)ヤマザキ+19.75%
6(4033)日東エフシー+17.20%
7(9878)セキド+16.78%
8(3179)シュッピン+16.55%
9(4657)環境管理センター+15.38%
10(3658)イーブック+14.86%

【注目された材料】
米中貿易協議は9日から再開予定で中国の人民日報は「あらゆる困難にも対応できる」と平静を保つ構えを見せる一方で米ブルムバーグは「関税引き上げに対する報復措置の準備をしている」と報じており、世界の金融市場としても予断を許さない状況だ。
協議は2日間の予定で、中国は交渉決裂を覚悟して米国の要求をはねつけるか、妥協して受け入れるか厳しい判断を迫られており、同国の踏み込んだ譲歩案を示せるかが焦点となる。

  

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市況概要2019-05-07

7日の東京市場は、335.01円安の2万1923.72円で引けた。
令和最初の取引、連休中の海外市場は比較的大きな動きもなく推移し、雇用統計などの指標を米市場は好感していたりなどしていたが、突如として米中貿易摩擦が再燃し、NYダウも一時500ドル安に迫る場面もあり、上海指数は5%を超える下落であった。これらを受け、日経平均も朝方から売り優勢で始まり、中国関連株の下げが目立ち、機械など景気敏感株に売りが出た。後場寄りでは中国の一部メディアが協議の一時中断の可能性を報じ、下げ幅は300円を超して拡大し、大引けにかけても2万2000円を割って推移した。本日は、日銀のETF買いも期待されていたが、それもなかったようで需給面でも重しとなったようだ。
個別では、業績の反応に明暗が分かれ、明日はトヨタ(7203)の決算発表があるなど、後半の決算も注目だ。


出来高:15億6494万株
売買代金:3兆2176億円
26日時点:終値ベースは上向きの5日移動平均線を超過し、短期上昇トレンドの継続を示唆。


【注目された銘柄】
ソフトバンクG(9984)
傘下の10兆円ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」のIPOと、同規模の第2のファンド創設を検討しているなどで米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが3日に報じ、IPOに伴った上場益を期待したことが刺激となり、朝方は買い優勢でスタート。米中悪化懸念の下支えとして同社株は注目されたが、引けにかけてマイナス転換し、結局前日比90円安の11465円で終えた。

【全市場値上がり上位】
1(3823)アクロディア+27.78%
2(4316)ビーマップ+27.53%
3(3137)ファンデリー +25.10%
4(3658)イーブックイニシアティブジャパン+23.81%
5(4657)環境管理センター+18.18%
6(7061)日本ホスピスホールディングス+18.07%
7(4441)トビラシステムズ+17.86%
8(2323)fonfun+17.39%
9(8914)エリアリンク+17.05%
10(2175)エス・エム・エス+16.79%

【注目された材料】
トランプ大統領は5日、突如、対中2,000億ドル分の製品関税を10%から25%に10日付けで引き上げるとツイッターで表明。その後、改めて米通商代表部のライトハイザー代表は中国への制裁関税10%から25%の引き上げを10日に実施すると表明。トランプ大統領の交渉術だという見方もあり、中国の態度次第では米国側も行動を見直すことに含みを持たせているが、期限は「5.10」ということで最悪の事態の対応を迫られる株式市場となっている。

  

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