新値足① 非時系列型のテクニカル指標

1.非時系列型のテクニカル指標

2.売買サイン

3.トレンドのない相場では使えない

 

1.非時系列型のテクニカル指標

 

ローソク足にせよ、移動平均線にせよ、通常の分析方法は時系列型と呼ばれ、時間の経過とともに指標も動くのが通常です。ところが新値足は、ある一定の幅まで値が動かないと、指標も動かないという、時間軸を無視したテクニカル指標です。新値足の描き方にはルールがあって、よく使われるのは「新値3本足」と呼ばれるものです。これに沿って描き方のルールを説明します。言葉にするとややこしいですが、ルールは至ってシンプルです。

 

・終値が直近の新値足の最高値(最安値)を抜いた場合に、順方向へ新値足を追加する。

・終値が直近3本分の新値足の幅を超えて逆行した場合に、逆方向へ新値足を追加する。

 

なお、「直近3本分の」というところを5本にすると新値5本足、10本にすると新値10本足、となります。10本足ともなると細かな波動が一切描画されませんので、相当大きな相場の流れを読む際に利用することもありますが、短期売買にはまったく向きません。では、実際に新値足を描画したチャートを見てみましょう。シグナルとしては、陽線が出たところで買い、陰線が出たところで売り、と読みます。

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※日本金属(日足)の新値足分析 (チャート提供:GCハロートレンドマスター)

まずは非時系列であることが確認できます。通常のローソク足は値動きに関係なく日々更新されていますが、新値足は株価が高値を抜いたりしない限り描画されることがありませんので、かなりの時間を飲み込んでから、ようやく1本の足を描くというケースがあるためです。

チャートの終盤をご覧ください。急騰ののちにジワジワと下落していますが、新値足ではどのように描かれているのか、該当箇所を赤線で引いています。直近3本分の新値足を超える上昇をみせたところで大きな陰線だった新値足から逆行して、大きな陽線が描かれました。その後もわずかながらも高値を更新する度に、新値足を描き足していき、3本の陽線が最終的な姿となっています。その後、相場は下がっているわけですが、この3本分の新値足の幅、つまり2本の赤線の幅を超えるところまで下落しない限り、陰線の新値足を描き足すことはありません。もしもこの後で相場が反転して直近高値を抜くようなことがあれば、陰線の新値足は描かれずに終わり、新たな陽線を描き足していくことになります。直近3本分の新値足の幅だけ逆行しない限り、トレンド転換したとは見なさない、というルールなのです。

このまま下落してしまうと、かなり下げたところでようやく売り転換となり、利幅なく終わることになります。一方向に大きな足が続いた後での転換サインは遅れやすいという、新値足の欠点の1つに当たります。たとえば次のチャートでも同じことがいえます。

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※ダイワボウ(日足)の新値足分析 (チャート提供:GCハロートレンドマスター)

相場が荒れた後では、新値足によるサインが読み取りにくくなる傾向にあることがわかります。