ペアトレードとは、2つの金融商品の価格差に着目し、収益をあげようとする手法です。
つまり、二つの銘柄の価格差から利益を取るサヤ取りのことです。
ペアトレードの一連の流れ
ペアトレードの流れを詳しく説明します。
上の画像のように、株式投資の場合は同じセクター(業種)は比較的に似たような動きをすることがあります。
しかし、似たような動きをする2つ銘柄でも、何らかの要因により、株価が離れるタイミングがあります。
その時に、高い方を売って、安い方を買い、2つの銘柄をセットとして保有します。
高い方の銘柄は適正価格に戻ろうとするため下がり、安い方の銘柄は適性価格に戻ろうとするため上がっていくという原理です。
そして、どちらの銘柄も適性価格になったところで反対売買することで利益を上げる、ということになります。
こちらがペアトレードの一連の流れとなります。
一見、鞘取りをするわけだから、裁定取引のように無リスクで利益をあげることができるんじゃないかなって思ってしまいます。
ですが、まったくそんなことはありません。
むしろ、ペアトードはデメリットのほうが多く、無意味なものなのです。
その理由を3つお話します。
大きな資金が必要になること
ペアトレードをするにはまとまった資金が必要になります。
というのも買いと売りを同じだけ、保有しなければならないからです。
例えば東京エレクトロンとアドバンテストをペアトレードすることにします。
東京エレクトロンを43,000円で100株購入したとします。
その時約定代金は4,300,000円です。
この約定代金と同じだけ、アドバンテストを購入しなくてはなりません。
つまり、現在アドバンテストが7,200円だった場合、最低でも約600株購入しなければなりません。
そのため、合計で1000万円の投資資金が必要になるのです。
この2つのペアではなくても、投資資金は2倍必要になりますから、少額から気軽にスタートできる投資戦略ではありません。
売買手数料が2倍かかる
ペアトレードでは、買いと売りを両建てセットにして行うため、通常の取引に比べて、単純に2倍以上のコストがかかります。
また、売りの銘柄に関しては信用取引を利用しなくてはならないため、金利などのコストもかかってきます。
その他にも、空売りの際には「逆日歩」が発生する可能性もあります。
投資結果は、売買手数料などのコストも含めて、トータルで損益を考えなくてはなりません。
そのため、投資においてもっとも確実にパフォーマンスを落とすのは手数料と言っても過言ではありません。
損益に関係なく発生するコストにも注目して、投資手法を選ぶことも重要です。
ペアとして成り立っていない
ペアトレードの場合は、2つのまったく違う動きをする可能性のある銘柄を売りと買いで保有するわけです。
異なる企業の価格差が広がるのか、縮まるのかを予測しなくてはなりません。
つまり、2つの銘柄の予測をしなくてはならないので、1つの銘柄の方向を読むよりはるかに難しいです。
さらにその2つのペアがほんとに最適かどうかなんてもっとわかりません。
また、鞘取りと聞くと、裁定取引のように、ポジションを保有した時点で利益が確定するのかなと思ってしまう人もいるかとは思います。
裁定取引では、現物と先物の価格差は100%無くなりますが、ペアトレードはもちろん100%ではなく、最悪の場合、買った銘柄が下がって、売った銘柄が上がるなんてことも起こりうるのです。
資金も2倍で、手数料も2倍…
それなのに、その2つの銘柄がほんとに最適なペアであるという保証もなく、その2つの銘柄の差が縮まるのかを予想しなくてはならない…
こんな意味のない取引ほかにありません。
それでは、なぜこんなにも意味のない取引が存在するのでしょうか?
金融機関の手数料のため
それは、証券会社などの金融機関が手数料を2倍とれるからです。
証券会社の営業マンにとって、大きな資金で手数料も2倍なんて、こんなおいしい話、他にありません。
ペアトレードは証券会社のような手数料商売のために存在するのです。
みなさんも証券会社の甘い言葉には騙されないようにしましょう。