Archive For 2016-07-15

新値足③ トレンドのない相場では使えない

新値3本足は、直近3本分の新値足を超える幅まで下落しなければ、転換サインを出しません。それはつまり、直近3本分の幅を少しだけ超える程度で行ったり来たりするような相場が続いた場合に、いわゆるダマシを連発することになってしまいます。下のチャートはほとんどトレンドが存在しない上に、かなり細かく上下動を繰り返していますが、新値足が逆行する度にいちいち売買していては、損失が膨らむばかりです。

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※中国塗料(日足)の新値足分析 (チャート提供:GCハロートレンドマスター)

ある程度長いトレンドを描くような相場でこそ、新値足の威力が発揮されると考えてよさそうです。次のような相場展開のときに、どこでポジションを閉じるかを考える際などには、新値足が有効に働くことが多いようです。

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※GSユアサ(日足)の新値足分析 (チャート提供:GCハロートレンドマスター)

新値足② 売買サイン

新値足での売買サインを見てみましょう。この相場では新値足によるトレンドがきれいに描けています。当初上昇トレンドだった相場が下落に転じて、新値足による最初の陰線が出たところが売りサインです。その後は大きな押し目もないままに底値まで下落しています。底値から反転して直近3本分の新値足を抜いたところで、陽線を描き足しています。今度はそこが買いサインとなります。しばらく上昇したものの、また新値足3本分を超える下落があったので、そこであらためて売りサインが出ました。この相場の場合は、いずれの売買サインも有効に機能しています。

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※三菱製紙(日足)の新値足分析 (チャート提供:GCハロートレンドマスター)

このチャートでは、新値足のメリットの1つが表れています。最後の売り転換後、相場は細かく上下を繰り返しながら、やや下落基調で推移しています。この間、2度の反騰場面がありましたが、そうした小さな波動に左右されることなく、上昇圧力の弱さを読み取っています。

新値足① 非時系列型のテクニカル指標

1.非時系列型のテクニカル指標

2.売買サイン

3.トレンドのない相場では使えない

 

1.非時系列型のテクニカル指標

 

ローソク足にせよ、移動平均線にせよ、通常の分析方法は時系列型と呼ばれ、時間の経過とともに指標も動くのが通常です。ところが新値足は、ある一定の幅まで値が動かないと、指標も動かないという、時間軸を無視したテクニカル指標です。新値足の描き方にはルールがあって、よく使われるのは「新値3本足」と呼ばれるものです。これに沿って描き方のルールを説明します。言葉にするとややこしいですが、ルールは至ってシンプルです。

 

・終値が直近の新値足の最高値(最安値)を抜いた場合に、順方向へ新値足を追加する。

・終値が直近3本分の新値足の幅を超えて逆行した場合に、逆方向へ新値足を追加する。

 

なお、「直近3本分の」というところを5本にすると新値5本足、10本にすると新値10本足、となります。10本足ともなると細かな波動が一切描画されませんので、相当大きな相場の流れを読む際に利用することもありますが、短期売買にはまったく向きません。では、実際に新値足を描画したチャートを見てみましょう。シグナルとしては、陽線が出たところで買い、陰線が出たところで売り、と読みます。

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※日本金属(日足)の新値足分析 (チャート提供:GCハロートレンドマスター)

まずは非時系列であることが確認できます。通常のローソク足は値動きに関係なく日々更新されていますが、新値足は株価が高値を抜いたりしない限り描画されることがありませんので、かなりの時間を飲み込んでから、ようやく1本の足を描くというケースがあるためです。

チャートの終盤をご覧ください。急騰ののちにジワジワと下落していますが、新値足ではどのように描かれているのか、該当箇所を赤線で引いています。直近3本分の新値足を超える上昇をみせたところで大きな陰線だった新値足から逆行して、大きな陽線が描かれました。その後もわずかながらも高値を更新する度に、新値足を描き足していき、3本の陽線が最終的な姿となっています。その後、相場は下がっているわけですが、この3本分の新値足の幅、つまり2本の赤線の幅を超えるところまで下落しない限り、陰線の新値足を描き足すことはありません。もしもこの後で相場が反転して直近高値を抜くようなことがあれば、陰線の新値足は描かれずに終わり、新たな陽線を描き足していくことになります。直近3本分の新値足の幅だけ逆行しない限り、トレンド転換したとは見なさない、というルールなのです。

このまま下落してしまうと、かなり下げたところでようやく売り転換となり、利幅なく終わることになります。一方向に大きな足が続いた後での転換サインは遅れやすいという、新値足の欠点の1つに当たります。たとえば次のチャートでも同じことがいえます。

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※ダイワボウ(日足)の新値足分析 (チャート提供:GCハロートレンドマスター)

相場が荒れた後では、新値足によるサインが読み取りにくくなる傾向にあることがわかります。

 

サイコロジカルライン

過去12日間の騰落カウント

 

サイコロジカルラインは、人間の心理に着目した実に単純な指標で、

過去何日間(あるいは何週間など)のうち、値上がりした日は何日あったか?を、

%で示したものです。

 

たとえば相場が12日連続で上昇していたとすると、投資家の心理としては

「いくらなんでもそろそろ下げるだろう」と不安になるものです。

そうした、異常な連続性に違和感を覚える人間心理を指標化しています。

 

計算もシンプルで、上昇した日が12日中10日間あれば、10÷12=「83.3%」となります。

逆に上昇した日が2日間しかなければ、2÷12=「16.7%」となります。

上述の83.3%以上を売りサイン、16.7%以下を買いサインとして判断します。

 

ではサイコロジカルラインを描画したチャートを見てみましょう。

上が通常のローソク足で、下がサイコロジカルラインです。

 

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最初の赤丸が買いサイン、2番目が売りサイン、3番目が買いサインです。

最初のサインに従ってトレードした場合は、損失が出てしまっています。

 

このチャートは日足で描かれていますが、このように、日足の場合はダマシも多くなるようです。

週足を利用するなどして最適化を図るか、他の指標と合わせて判断することが必要かもしれません。

また、好景気時のグロース株などは一直線に上昇するような強い相場となる場合もありますから、

そうした銘柄については常に高い%数値が出てしまい、

サイコロジカルラインでは判断できなくなるので注意が必要です。

ストキャスティクス④ 実践編

ユーロ円の日足チャートに、スローストキャスティクスを描画しています。%D(青線)とSlow%D(橙線)はともに上昇過程にあり、特に%D(青線)はほぼ80に達しています。この後、Slow%D(橙線)が追随して上昇し、やがてデッドクロスして下落サインが出るまでにはもう少し日数がかかると思われます。

 

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それまでは買い継続、そしてデッドクロスかつ80のレベルを割りこんできたところで、売りに転換するという判断をします。ここから新規で買いにいくというよりは、売りのタイミングを待つほうが得策に思います。特に明確な上昇トレンドがない場合に、移動平均線近辺で無理な投資をする必要はありません。

ストキャスティクス③ スロー・ストキャスティクス

ファスト・ストキャスティクスの場合、特に%Kが日々敏感に反応を起こすために、

クロスが頻繁に発生してしまい、サインを明確に読み取りにくいという欠点がありました。

そこで、一般的には若干動きを緩めた、スロー・ストキャスティクスが利用されます。

 

スロー・ストキャスティクスでは%K(赤線)を除き、

%D(青線)とSlow%D(緑線)の2本のラインを用いて分析します。

見方はファスト・ストキャスティクスと同じです。

 

20~30%近辺にあったストキャスティクスが上昇し始めるあたりでの、クロスで買い、

70~80%近辺にあったストキャスティクスが下降し始めるあたりでの、クロスで売り。

 

▼スロー・ストキャスティクス (チャート:GCハロートレンドマスター/ゴールデンチャート社)

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ストキャスティクスは、相場のトレンドが長く続くと、

80%以上とか20%以下といった水準に張り付いてしまいます。

 

一方で、ボックス相場での投資判断や、トレンド転換を知るための指標として

ストキャスティクスは明確なサインを発します。

ストキャスティクス② ファスト・ストキャスティクス

ストキャスティクスには、2つの見方があります。

3つのラインのうち、%Kと%Dの2つだけを取り出して分析するものが

ファスト・ストキャスティクスです。

 

以下のチャートには、先ほどの3つのラインからSlow%D(緑線)を外して、

ファスト・ストキャスティクスによる分析を示したものです。

 

▼ファスト・ストキャスティクス (チャート:GCハロートレンドマスター/ゴールデンチャート社)

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赤帯のところが買いサインになり、青帯のところが売りサインになります。

まずは%K、%Dともに、0%~100%のどのあたりに存在しているかが判断材料になります。

いずれのラインも20~30%以下の水準であればそろそろ買い場を迎えるチャンスと意識し、

70~80%以上の水準であれば相場の過熱を警戒します。

 

上記水準に達していた%Kおよび%Dが、

20%~80%の範囲に収まろうとする近辺で発生するクロスをサインとして活用します。

 

チャートを見るとクロスがたくさん発生していて、

すべてのクロスに対処していたらダマシだらけになってしまいます。

トレンドが始まろうと(終わろうと)する動きを捉えた上で、サインを読み取るようにします。

ストキャスティクス① 3つのライン

目次:ストキャスティクス

1.3つのライン

2.ファスト・ストキャスティクス

3.スロー・ストキャスティクス

実践編-%DとSlow%Dのデッドクロス

 

1.3つのライン

 

ストキャスティクスは、1950年代にジョージ・レインが開発したオシレータ系のテクニカル分析で、

近年になって注目度が高まっています。

ストキャスティクスは、3つのラインを用いて分析します。

 

■ %K : 直近の終値が一定期間の価格帯の中でどの水準にあるか

■ %D : %Kの3日間の平均

■ Slow-%D : %Dの3日間の平均

 

なお、参照期間としては、9日間を採用することが多く、

他には5日や14日などが使われています。(週足では9週や14週など)

 

%Kは、過去9日間の高値と安値の幅の中で、どの位置にいるのかを示したものになります。

過去9日間の最高値で終値を迎えた場合は100%に、

過去9日間の最安値で終値を迎えた場合は0%になります。

 

その数値(%)の直近3日間を平均したものが%Dで、

%Dをさらに3日間平均したものがSlow%Dです。

 

では、それぞれのラインを描画したものを見てみましょう。

▼日経平均のストキャスティクス (チャート:GCハロートレンドマスター/ゴールデンチャート社)

 

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その差がどれだけ有意なのかもわかりにくいほど接近したラインが

3本並んで動いています。わずかではありますが、早めに動いている赤線が%Kです。

次いで青線の%D、もっとも緩やかな動きをみせているのが緑線のSlow%Dです。

 

乖離率

移動平均線からの距離

 

現在値を含んで計算される移動平均線は、相場が辿ってきた軌跡によっては
移動平均線と現在値とに大きな乖離が生まれることがありますが、
たいていは上下動を繰り返す値動きの中で、現在値がやがて移動平均線に近づいてきます。

そうした、移動平均線から離れるように上下動しては戻る
値動きのパターンを利用したテクニカル指標が移動平均線乖離率です。

 

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「行き過ぎた値は戻る」と考えた場合、乖離率がプラスに大きく上昇したところでは売り、

マイナスに大きく下落したところでは買い、のサインとして判断します。

乖離率を使って新規にトレードを開始するというよりも、
また、既に保有しているポジションを閉じる際に、
つまり売却や買戻しなどによって利食う際に利用することが多いようです。